用地仕入れ営業の面接で見られているのは、土地を見つける力そのものより「その土地でなぜ事業が成立すると判断したのか」を自分の言葉で説明できるかどうかです。
経験者は実績の数字ではなく内訳と判断の根拠を、未経験者は知識ではなく情報を取りに行く動き方を語れるかで差がつきます。
用地仕入れ営業の面接は、同じ不動産営業でも仲介や販売の選考とは聞かれ方が違います。扱う金額が大きく、1件の判断ミスが会社の利益を直接削る職種なので、面接官は「この人に任せて大丈夫か」を、かなり具体的なレベルで確かめにきます。ここでは実際によく聞かれる質問と、答え方の組み立て方を整理します。売買仲介からの応募でとくに問われる点は、不動産売買仲介からの転職で問われることで扱っています。
面接官が見ている3つの軸
質問の表現は会社ごとに違っても、確かめたいことは大きく3つに絞られます。ここを外さなければ、多少言葉に詰まっても評価は大きく崩れません。
1つめは情報の入手経路です。用地仕入れは、そもそも売り情報に触れられなければ何も始まりません。地場の仲介会社との関係、金融機関や士業からの紹介、地主への直接アプローチ。どのルートを、どのくらいの頻度で回していたのかは必ず問われます。ここは行動量がそのまま出る部分なので、ごまかしが効きません。
2つめは出口を描けるかどうか。その土地に何を建て、いくらで売れて、いくらの粗利が残るのか。面接で「この土地はなぜ事業化できると判断したのか」と聞かれたとき、価格の話だけで終わる人と、用途・規模・想定販売価格まで含めて答えられる人では評価が明確に分かれます。
3つめは社内を通す力です。どれだけ良い土地を見つけても、稟議が通らなければ仕入れにはなりません。どんな資料を作り、どこを懸念され、それにどう答えたか。この話ができる人は、入社後もすぐ機能すると判断されます。

面接する側に回って、私が見ているところ
ここまでは、聞かれる側から見た話です。私は自社の採用で面接に入ることがあるので、採用する側として何を見ているかも書いておきます。上の3つは経験者の方に当てはまる話で、採用側の関心はもう少し手前にあります。
まず、仕入れ営業の経験は無くても問題ありません。そこは障害になりません。代わりに見ているのは、この仕事をやりたいという気持ちが、面接より前の行動に出ているかです。宅建を取っている、当社のホームページを見て手がけている物件を自分で分析してきている、社員に話を聞かせてほしいと言ってくる。そこまで動いている方は、言葉で「やる気があります」と言われるより伝わります。
もう一つは、なぜこの会社なのかです。仕入れ営業ができる会社は山ほどあります。ですから「稼ぎたい」という理由だけだと、それなら他社でもいいのではないかという話になってしまいます。この会社でどうなりたいのかが語れるかどうかを見ていて、そこはすぐ辞めてしまわないか、会社に対してどう向き合う方なのかという判断につながっています。
逆に言えば、準備でそのまま差がつく部分です。経験の有無よりも、応募先を調べた形跡と、その会社を選んだ理由のほうが先に見られていると考えてください。
よく聞かれる質問と、答え方の型
なぜ数ある不動産職種の中で用地仕入れなのか
ほぼ確実に聞かれます。ここで「大きな仕事がしたい」「街づくりに関わりたい」だけで止まると、他職種でも成り立つ答えになってしまい、印象に残りません。仲介や販売ではなく仕入れでなければならない理由、つまり事業の入口を自分で決められる点に触れると、職種理解が伝わります。志望動機の組み立て方そのものは志望動機の書き方を例文つきで解説した記事にまとめました。
担当したいエリアと、その土地勘は
土地勘は「詳しいかどうか」ではなく「どのくらいの解像度で語れるか」を見られています。駅からの距離と相場の関係、道路付けによる価格差、エリア内で売れ筋の商品規模。このあたりを具体的に話せると強い。土地勘のないエリアに応募する場合は、正直にそう伝えたうえで、どう埋めるつもりかを添えるのが得策です。エリアをまたぐ転職の考え方は地方から東京へ移る際の論点をまとめた記事が参考になります。
情報はどうやって取ってくるのか
経験者なら実際の動き方を、未経験者ならこれからの動き方を具体的に答えます。「足を使います」「人脈を作ります」では中身がありません。週に何社回るのか、どんな情報を持って訪問するのか、断られた相手にどう再訪するのか。面接官が知りたいのは意欲の大きさではなく、行動の設計があるかどうかです。
粘り強く取り組んで成果を出した経験は
用地仕入れは、着手から決済まで年単位かかる案件が普通にあります。この質問は、その時間軸に耐えられるかを見るためのものです。答えには「どのくらいの期間、何回アプローチしたか」という量の情報を必ず入れてください。職種が違う経験でも構いません。長期戦を前提に動けた事実が伝わればいい。
直近の実績を教えてください(経験者)
棟数や金額だけ答えて終わるのは、もったいない使い方です。この質問は実績の大きさを測るためというより、どういう判断で仕事をしてきた人かを知るために置かれています。数字はきっかけとして出し、そこから内訳と判断の話に進めるのが正解です。具体的な組み立て方は次の項目で書きます。
面接で職種理解を問われたときに詰まらないよう、前提は先に固めておいてください。不動産仕入れ営業の仕事内容を、仲介営業との違いから整理しています。
経験者は「数字の内訳」まで用意しておく
年間◯棟、総額◯億円。この数字は出発点であって、評価されるのはその中身です。持ち込みの案件が何割で、自分で起こした案件が何割か。稟議に上げた件数のうち、何件が通って何件が落ちたのか。落ちた案件は何が理由だったのか。
特に「落ちた案件の話」を用意しておくと印象が変わります。仕入れは通らない案件のほうが多い仕事なので、失敗を分解して言葉にできる人は、再現性があると判断されやすい。実績を書類の段階で整理しておく方法は職務経歴書の整理の仕方をまとめた記事で扱っています。
もうひとつ、前職の商品と応募先の商品が違う場合は、そのギャップに自分から触れておくと安全です。戸建用地とマンション用地では検討する規模も出口も違います。違いを分かったうえで応募していると示せるかどうかが、経験者採用では効きます。会社ごとの型の違いは転職先をタイプ別に比較した記事を見ておくと整理できます。
難しかった案件を、どうほどいたかで話す
取れた案件の件数だけを並べても、面接官の側では実力の差が見えません。効くのは、すんなり取れた案件ではなく手こずった案件をどう処理したかのほうです。ここで分解して話せる人は多くありません。
| 聞かれ方 | 用意しておく材料 |
|---|---|
| 「一番苦労した案件は」 | 何がネックだったか(共有・相続・借地・接道など)と、どの順番でほどいたか |
| 「なぜその価格で買えると判断したのか」 | 前提に置いた数字と、その出所(近隣の成約事例か、社内の査定基準か) |
| 「出口はどう想定したか」 | 誰に、どういう商品として売る前提だったか。事業収支のどの数字で成立と判断したか |
| 「社内をどう通したか」 | 稟議で指摘された点と、それをどう埋めたか |
権利関係が入り組んだ土地を扱った経験があるなら、そこは強く出していい部分です。共有者が複数いる土地や、接道が厳しい土地をまとめた経験は、会社を問わず評価されます。論点の整理は権利関係が複雑な土地を扱った記事にまとめました。
数字は結論だけでなく、前提と出所まで言えるかで評価が変わります。「相場より安く買えました」で止まると、運で取れたのか判断で取れたのかが区別できません。
未経験者はどこで勝負するか
未経験の場合、知識量で勝負しようとすると必ず負けます。付け焼き刃の用語は面接で簡単に見抜かれますし、そもそも採用側も入社時点の知識には期待していません。
代わりに効くのは、前職での行動の質です。断られてからどう動いたか、社内の関係部署をどう巻き込んだか、長期の案件をどう管理したか。用地仕入れの仕事は、突き詰めると情報を取りに行く動きと社内を通す動きの2つなので、職種が違ってもこの2つに紐づく経験なら十分に材料になります。

資格については、宅地建物取引士を勉強中であれば必ず伝えてください。持っていることより、動き出していること自体が評価対象になります。詳しくは宅建士が実務でどう効くかを整理した記事と未経験からの転職方法をまとめた記事をどうぞ。
用地仕入れの求人は、職種名が「開発営業」「事業用地担当」などに変わっていることがあります。私が見てきた求人ではそちらのほうが多く、探し方で結果が変わります。用地仕入れ営業の転職エージェント比較で、業界特化型・総合型・スカウト型の7サービスを目的別に整理しました。
会社を見極める3つの確認事項
逆質問は評価される場であると同時に、こちらが会社を見極める数少ない機会です。用地仕入れは同じ職種名でも会社によって働き方がまるで違うので、ここで踏み込んでおかないと入社後に後悔します。
聞いておきたいのは、稟議の決裁ルートと判断のスピード、情報の入手経路が持ち込み中心か開拓中心か、評価が棟数ベースか粗利ベースか。求人票に書かれないこの3つが、入社後の働きやすさをほぼ決めます。角を立てない具体的な言い回しは逆質問の例を集めた記事にまとめました。
面接前に用意しておくもの
- 案件を1本、最初から最後まで語れる状態にする:情報の入手経路、判断根拠、稟議での指摘、決済までの流れ
- 落ちた案件を1本用意する:なぜ通らなかったか、次にどう変えたか
- 応募先の商品と担当エリアを調べる:どんな規模の土地を、どのエリアで扱っているか
- 逆質問を3つ用意する:稟議・情報経路・評価制度
- 数字を言える形にしておく:棟数、総額、持ち込みと自己開拓の比率
1と2が用意できていれば、質問の順番が変わっても答えは組み立てられます。逆にここが曖昧なまま面接に入ると、どの質問にも抽象的な答えしか返せません。応募先の見極め方は用地仕入れ営業の会社の見分け方、条件面の相場感は年収相場の記事で確認しておいてください。
よくある質問
実績が少ない期間があります。どう説明すべきですか
隠さず、その期間に何をしていたかを話すほうが通ります。用地仕入れは市況や担当エリアの影響を強く受ける職種なので、数字が出ない時期があること自体は採用側も理解しています。動き続けていた事実が伝われば問題になりません。
前職の取引先や案件の詳細はどこまで話していいですか
固有名詞は避け、規模・エリアの傾向・進め方といった一般化した形で話すのが基本です。守秘義務への意識が薄いと見られるほうが損なので、「詳細は控えますが」と前置きしたうえで構造を説明してください。
面接は何回くらいありますか
2〜3回が一般的です。一次で職務内容のすり合わせ、二次以降で役員や仕入れ部門の責任者が実務の解像度を確認する流れが多く、最終面接ほど稟議や収支の話が具体的になります。
まとめ
用地仕入れ営業の面接は、情報の入手経路・出口の設計・社内を通す力の3点を確かめる場です。経験者は数字の内訳と落ちた案件を、未経験者は行動の設計を語れるようにしておくと、質問の形が変わっても崩れません。
そのうえで、逆質問を使って会社側の実態を引き出すところまでが面接です。選考の進め方を相談しながら決めたい場合は転職エージェントのタイプ別比較も参考にしてください。
出典・参考情報(2026年9月20日確認)
- 職業安定法第5条の3(労働条件等の明示)
- 労働施策総合推進法第9条(募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保)
- 男女雇用機会均等法第5条(募集及び採用における性別を理由とする差別の禁止)
- 厚生労働省「公正な採用選考の基本」(応募者本人の適性・能力に基づく採用選考の考え方)
- 各転職サイトに掲載されている用地仕入れ・開発営業求人の選考フローの記載傾向(2026年9月確認)
※面接で実際に問われる内容は会社と面接官によって異なります。本記事は一般的な整理であり、特定の企業の選考内容を示すものではありません。
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